
よく『会社のあの人、うつ病らしいよ。』、『ご近所の●●さんの息子さん、うつ病らしいのよ。』なんていうことが多いですが、精神課の医師でも結構、診断は難して厳密に言えば誤診して診断名を付けられていることも相当数に上ります。
鑑別診断とは診断していく上で、よく似た症状や所見があっていくつか可能性がある病気を比較して、しっかりと区別し特定していくもののことです。
ここでは名前は良く似ていますが、厳密には異なるものをあげています。が、その数は多く、代表名ものを中心にしています。
抑うつ神経症
神経症的性格に心因が加わるとうつ状態をおこしやすい。症状は精神運動制止や日内変動よりも、不安焦燥、身体症状などで神経症的症状が目立つ。
反応性うつ病
ある種の情動体験(近親者との死別、欲求不満、失望など)を契機として抑うつ状態が出現する。
内因性うつ病よりも日内変動が少なく、また体験が了解可能な面が多い。情動体験がとり除かれると症状も軽快する。
最近では内因性うつ病も誘因があることが多いといわれ、区別が困難になり反応性うつ病という用語は使用しにくくなった。
精神分裂病
1) 精神分裂病初期
うつ状態がみられることがあるが、自覚的な抑うつ気分、苦悩感は少なく、妄想が多少みられることがある
2) 躁病性興奮
観念奔逸となり思考が断片的となり精神分裂病の支離滅裂恩考と区別が困難なことがあるが、精神分裂病では自閉的思考という点から区別できる
その他
- 中毒性精神痛:(感染症や代謝疾患、内分泌疾患、アルコール中毒など)、
- 器質精神病:(進行麻痒、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、パーキンソン症候群、初老期痴呆)
- 薬物による躁うつ状態:(レセルピン、ステロイド、副腎皮質ホルモンんACTHなど)