精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM)というものがあります。
診断について年を重ねるごとに新しい基準が設けられており、現在は5になります。問題点としてはあまり浸透していないということでしょうか。
1980年に症候学的記述および量的基準を導入した新しい診断基準がDSM-Ⅲです。ここでは一番メジャーともいえるこれについての診断基準です。
精神障害の診断と統計の手引き(DSM-Ⅲ)
DSM-Ⅲでは、以下のような診断基準を示している。
なお、一部の病型(定型1;うつ病)の診断にデキサメサゾン抑制試験も参考として’用いられる。
(A)少なくとも以下の5つの症状が同時に2週にわたり存在し、病前の機能からの。変化があること;これらの症状の少なくとも一つは、①抑うつ気分、または②興味や楽しみの喪失である(明らかに身体条件、気分と調和しない妄想、または幻覚、支離滅裂、あるいは著しい連合弛緩に由来する症状は含まない)。
(1) ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分で(小児や青年の場合はいらいらした気分もありうる)、それは患者の主観的陳述または他者の観察で示される
(2)全ての、または大部分の活動において、ほとんど一日中、ほとんど毎日、興味や楽しみの著しい減退(患者の主観的陳述または他者の観察によるとほとんどいつも無気力である)。
(3)節食していないでいて、明らかな体重減少、または体重増加(例えば、1ヵ月体重の5%以上)、またはほとんど毎日、食欲の油退、または増加(小児の場合、期待される体重増加がみられないこと)。
(4)ほとんど毎日の不眠、または睡眠過多。
(5)ほとんど毎日の焦燥、または精神運動制止(他者によって観察されるもので、単に落ち着かない感じ、またはのろくなった感じとか主観的感じではない)。
(6)ほとんど毎日の疲労、または気力の喪失。
(7)ほとんど毎日の無価値感、または過剰で不適切な罪責感(妄想的であることもある)、(単なる自責の念や病気であることへの罪の意識ではない)。
(8)思考力や集中力の減退、または決断不能がほとんど毎日認められる(患者の主観的陳述、または他者の観察による)。
(9)繰返し死を考える(死の恐怖に限らない)自殺念慮が特別な意図なく繰返されるか、自殺企側、または自殺するための特別な意図が繰返される。
(B)
(1)器質的因子がこの障審を起こし、維持していることが証明できない
(2)愛する人の死(単純な死別反応)への正常な反応ではない
(C)羅患中どの時期にも、気分症状が極立って存在しないで(すなわち、気分症状が現れる前か、またはそれが寛解した後)、妄想または幻覚が2週間にわたり存在することはない。
(D)精神分裂病、分裂病様障害、妄想性障害または特定不牢の精神病性障害のいずれにも重なっていない。
注:大うつ病症候群は基準(A)として定義される
DSM-Ⅳの障害概念
DSM-IVには、16個の障害 (Disorder) の概念が含まれている。
通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害 (Disorders Usually First Diagnosed in Infancy, Childhood, or Adolescence)
せん妄、痴呆、健忘性障害、および他の認知障害 (Delirium, Dementia, and Amnestic and Other Cognitive Disorders)
一般身体疾患による精神障害 (Mental Disorders Due to General Medical Condition)
物質関連障害 (Substance-Related Disorders)
統合失調症および他の精神病性障害 (Schizophrenia and Other Psychotic Disorders)
気分障害 (Mood Disorders)
不安障害 (Anxiety Disorders)
身体表現性障害 (Somatoform Disorders)
虚偽性障害 (Factitious Disorders)
解離性障害 (Dissociative Disorders)
性障害および性同一性障害 (Sexual and Gender Identity Disorders)
摂食障害 (Eating Disorders)
睡眠障害 (Sleep Disorders)
他のどこにも分類されない衝動制御の障害 (Impulse-Control Disorders Not Elsewhere Classified)
適応障害 (Adjustment Disorders)
パーソナリティ障害 (Personality Disorders)