心臓の刺激伝導系の伝達経路と心電図から読み取れるデータ
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今回は心臓の刺激伝導系についてまとめてみます。

簡単に言えば、心臓のドクンドクンという定期的に脈打つリズムが心臓の筋肉にどのようにして行われているかというシステムのことを指します。

文字にすると分かりにくいですが、どこから起こって・どのように流れていくかを、図で理解しながら進めれば、以外に簡単に頭に入っていきます。

では、いてみましょう。

心臓の刺激伝導系とは?

心筋の興奮は細胞から細胞へ伝達はされるが、筋線維の連絡はなく刺激伝導系(興奮伝導系)だけが房室間の興奮を連絡する。刺激伝導系というのは30~60μmの特殊な太い心筋であって、心房内にある結節組織の間(洞房系)、および房室の間(房室系)にわたって走っている。

結節組織とは神経支配の多い未分化の心筋細胞の集合で、心臓に特有な自動性の起始部である。右心室には静脈洞部に洞房結節(歩調とり、ペースメイカーとも言われる)、心室の境界部に房室結節が、また、その他下大静脈開口部にも結節組織がある。

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洞房系は洞房結節から房室結節にいたるものであり、房室系は房室結節からまず、ヒス束をなして心室中隔に至り、中隔壁を左右の足に分かれて心内膜の直下を心尖に向かって走る。

ヒス束の一部は中隔から出ている乳頭筋に入り、他部は多数に分岐して編み珠をなし、心室の大部分に広がる。これらの心筋線維は直系が太くプルキンエ線維と呼ばれる。

拍動の起始部は洞房結節で、洞房結節の心筋細胞が自動的にリズム興奮を続け、それが全体に広がり刺激伝導系によって心室にも伝播するのである。

よって洞房結節は心臓拍動の歩調とり(pacemaker)という。
心臓には歩調とりがいくつかあるが、通常は洞房結節だけが単一の歩調とりをしている。その理由は洞房結節のリズムが最も速いからと考えられている。

 

心電図のPQRST波の成分と意味

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名 称 意 味 電 圧(mV) 持続時間(秒)
P 心房の興奮に対応 0.2 0.060~.10
QRS 心室全体に広がる時間 0.5~1.5 0.08~0.10
T 心室の興奮の回復に対応 0.2 0.2~0.6
PR(PQ) 洞房質興奮伝導時間   0.12~0.20
ST 心室全体が興奮している時期 基線上にあるのが原則 0.1~0.15
QT 電気的心室収縮時間   0.30.45

 

 

洞房結節の反復興奮周期

心臓拍動のリズム、つまり洞房結節における歩調とり細胞の反復興奮の周期は非常に規則正しく、1分間の拍動数、すなわち心拍数は新生児では130回で、年齢とともに減少して20歳以上では70~75回である。

心臓は交感神経および副交感神経(迷走神経)によって2重支配を受けている。

心拍数の温度変化について温度が10℃上昇すると心拍数は2~2,5倍に増加する。また、交感神経を刺激するかアドレナリンを作用させると心拍数が増加し、迷走神経を刺激するかアセチルコリンを作用させると心拍数が減少する。二酸化炭素の増加は心拍数を増加させるもっとも有効な刺激である。

心室の容量変化

左心室の1回の拍動によって駆出される血液の量、つまり一回拍出量は40~100mlで上記で述べたとおり平均70~75mlであるが、立位よりも臥位の時の方が多くなる。

安静時の左右の心室の毎分心拍出量は等しく、立位のときは4~7l/minで臥位のときは25%多く、5~9l/minとなる。運動時は20l/minまで増加するが、訓練されたスポーツマンではさらに30~40l/minにもなる。

毎分心拍出量は人によって違うが、体表面積にほぼ比例する。体表面積1㎡あたりの毎分拍出量を現す心指数は、10代では約4l/min/㎡であるが、年齢とともに減少し、80台では約2.4 l/min/㎡に減少する。

聴き取れる・聞き取れない心臓の音(心音)

心音は収縮期の第I音と弛緩期の第Ⅱ音とを区別できるが、第Ⅲ音は聴診できない。
第Ⅰ音は房室弁閉鎖、動脈弁の開放、筋の収縮音、動脈内の加流などによる振動であり、第Ⅱ道脈弁の閉鎖、房室弁の開放、動脈壁の振動などによって起こる。