[心電図付き]異所性刺激生成異常の特徴一覧
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①発作性心房頻拍(PAT)

心房内に突然異所性刺激発作源が出現し、その自動能の亢進により、洞結節ペースメーカーを超えて歩調とり機能を横取りした状態で、P波はⅡ、Ⅲ、aVFで陽性となる。

発作性心房頻拍の特徴:
房室リエントリー性頻拍(AVRT)によるものが多く、電気的興奮が、心房→房室結節→心室→Kent束(副伝導路)→心房の順に旋回する。

 

 

②発作性房室接合部性頻拍 

房室接合部内に突然、異所性刺激発作源に出現し、その自動能の亢進により洞結節ペースメーカーを越えて、歩調取り機能を横取りした状態で、P波はⅡ、Ⅲ、aVFで陰性となる。

 

発作性房室接合部性頻拍の特徴:
房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)によるものが多く、興奮旋回路が房室結節内に存在する頻脈である。

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⇒発作性上室性頻拍

①房室結節より上部を起源とする頻拍で120~180BPMと1:1で心室へ伝導され規則的である。

②心房・心室両方向への伝導時間がほぼ等しいため、P´波はQRS波と重なり同定できないことが多い。

 

③ブロックを伴った発作性心房頻拍

心房拍動120~180BPMなのに通常2:1で房室伝導するため、心室拍動が60~90BPMとなるもの。

 

④心房細動   

心房の異所性興奮によって心房の各小部のあちこちが、細かく無秩序・不規則に興奮し、心房全体が正常に周期的に収縮できない状態で、心房の各部位で320BPM以上の無秩序な興奮が生じるもの。

 

心房細動の特徴:
正常に示される洞性P波がなく、不規則な揺れ(動揺)であるf波(細動波)が出現する。心房拍動320BPM以上

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⑤心房粗動   

心房が頻回にある決まった規則で正しく頻回で興奮する状態にあり、その興奮の一部分が2:1または3:1に規則正しく心室に伝導される。

心房粗動の特徴:
洞性P波がなく、規則的な揺れ(動揺)であるF波(粗動波)が出現する。

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①1:1伝導…心房興奮の全てが心室に伝導されたもの

②2:1伝導…2回の心房興奮のうち、1回が心室に伝導されるもの。

③4:1伝導…4回の心房興奮のうち、1回が心室に伝導されるもの

 

⑥心室細動   

各心筋細胞が全く無秩序に随所で、速い周期で、繰り返し興奮し、心室の部分的収縮が持続的に反復する致死的不整脈の状態。

寝室細動の特徴:
波形の形状、振幅および周期など不定の波が150~500BPMで不規則に連続している。

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⑦心室頻拍  

心室から突然刺激が発生し、頻拍となるもので、P波の全く関係ないQRS群が70~180BPMの割合で規則正しく出現する。

寝室頻拍の特徴:
P波は独立した洞調律で出現し、房室解離を生じるQRS群は幅広く0.12s以上となる。

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以下は、早期収縮(期外収縮)とよばれるものです。

ある心拍の次に予測される心拍よりも、早い時期に洞結節以外の部位(心房、房室結合部、心室)から刺激が起こるものをいいます。

⑧心房早期収縮(期外収縮)(PAC)  

心房の一部の興奮が異常に高まり、洞結節から起こる刺激よりも早く心房収縮が起こる。

心房に異所性の刺激興奮が生じ、次に予測される洞調律よりも早期に異常な心房収縮が起こり、P波(P’波として区別する)が生じるもの。

心房早期収縮の特徴:
刺激発生部位が房室接合部に近い時、逆伝導性のP’波(陰性P’波)が第Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でみられる。

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第4拍が心房性期外収縮.QRS波形が洞収縮と同じ.期外収縮と回復収縮の関係は非代償性

 

⑨心室早期収縮   

心室内の異所性興奮刺激により洞調律で予測される時期よりも早期に心室が収縮するもの。

寝室期外収縮の特徴:
①QRS波の幅は広く、0.12秒以上で(正常の約2倍)変形している
②P波を伴わない(心室自体の収縮があるので)
③QRS波につづくST部位およびT波はQRS波の方向と逆方向を示す

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2段脈.洞収縮と期外収縮が交互に出現している

 

⑩房室接合部性早期収縮   

房室接合部の一部の興奮が異常に高まり、洞結節から起こる刺激よりも早く心房収縮が起こるもの。

房室接合部に異所性の刺激興奮が生じ、次に予測される洞調律よりも早期に異常な興奮が心房に逆方向(逆伝導性)に伝わり、また刺激伝導系にも伝えるもの。

(特徴)逆伝導性P波(陰性P波)が洞性P波よりも早期に出現し、興奮が逆行するため、第Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で陰性P波がみられる。

 

⑪上室性早期収縮

次に予測される正常収縮の時期よりも早期にヒス束が左右の脚に分岐する部位よりも上部から刺激が発生し、基本調律を乱す異常波形がでるもの。

(特徴)①連続期はほぼ一定。

②非代償性が多い(時には代償性、間入性)→ブロックされた心房早期収縮(心房期外収縮;PAC)

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以下は、心室細動に移行しやすい危険な心室早期収縮(心室期外収縮)です。

 

⑫RonT性心室早期収縮

連結期が非常に短いもので、PVC(心室早期収縮)が洞調律のT波の頂点に出ている寝室早期収縮のこと。

 

⑬ショートラン型心室早期収縮

PVCが数個連結している型で、心室早期収縮(心室期外収縮)が数個(3個以上)連発するものをいう。

ショートラン型心室早期収縮の特徴:
6個以上の心室早期収縮(心室期外収縮)は心室頻拍となる。

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⑭多発性心室早期収縮、または多源性心室早期収縮

同じ誘導でも、形、方向の違ったPVCが発生するもの。
心室内でも早期収縮の発生部位が異なっているもの。

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以上になります。

ちょっと長かったですが重要なところなので、心臓の形と伝導を意識しながら出と理解しやすいですよ。