脈拍を触れることができる動脈と心拍数の増減に関わる因子

評価・検査方法

心室収縮期による圧が大動脈起始部に伝えられ,血液が大動脈から末梢動脈へと伝えられる。同時に内圧の高まりも波となって血管にそって末梢へ伝播される。

これを脈拍という

脈拍を触れることのできる部位を脈点という。主要な脈点を図にしています。

これらは血流の速度とは関係なく心臓の拍動とほとんど同時に脈拍を触れることができる。

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  1. 頚動脈
  2. 上腕動脈
  3. 橈骨動脈
  4. 大腿動脈
  5. 膝窩動脈(5の後)
  6. 後脛骨動脈
  7. 足背動脈
    以上が触れやすいものですが、それ以外にも
  8. 尺骨動脈
  9. 腋窩動脈
  10. 顔面動脈
    等があげられます。

 

 

心拍数(脈拍数)に関わる要因

 

心拍数と温度作用とその反応

  1. 温度が10℃上昇すると,心拍数は2~2.5倍に増加する。
  2. 運動や精神興奮によって体温上昇が起こる。
  3. 交感神経興奮(アドレナリン)によって体温は上昇し,副交感神経興奮(アセチルコリン)によって体温は下降する。
要因 体温上昇 体温下降
①運動  
②精神興奮  
③神経興奮 交感神経 副交感神経
④伝達物質 アドレナリン アセチルコリン
⑤睡眠 覚醒時 入眠時
⑥プロゲステロン  
⑦発汗  

 

 

神経刺激の作用と心拍数に与える反応

  1. 副交感神経(迷走神経)を興奮させるか、アセチルコリンを作用させるかすると、心拍数が減少する。
  2. 交感神経を興奮させるかアドレナリンを作用させるかすると、心拍数が増加する。
  3. 心臓支配の迷走神経の中枢を心臓抑制中枢と呼ぶ。その伝達物質はアセチルコリンである。
  4. 運動時など交感神経の活動が高まっている時には血液の還流量が増加する。この場合は心臓が促進され、心拍数および収縮力が増加して毎分心拍出量も増す。

 

血圧と心拍数の関係 ~作用とその反応はどうなるのか?~

  1. 血圧が上昇すると心拍数は減少する。
  2. 動脈血圧が上昇すると頸動脈洞あるいは大動脈などの圧受容器が興奮し、血管運動中枢の昇圧部が抑制され降圧部が刺激される。その結果、血管拡張が起こり心拍数を減少させて正常に戻そうと働く。
  3. 動脈血圧が上昇すると心臓は抑制されて心拍数および拍出量が減少し、同時に血管収縮性インパルスが減少する。
  4. 動脈血圧が下降すると血管運動中枢の昇圧部の抑制が減少し、その結果血管収縮が起こって心拍数を増大させて正常に戻そうと働く。
  5. 血圧下降すると心臓抑制中枢の活動は低下し、血管収縮性インパルスが増加して血管収縮がおこり、血圧を元に戻す。つまり,血圧下降した場合,心臓促進と血管収縮が顕著になる。

 

要因 血圧上昇 血圧下降
①うっ血  
②運動  
③精神興奮  
④怒り  
⑤不安  
⑥痛み  
⑦寒冷(血管収縮)  
⑧出血(血液量低下)  
⑨循環性ショック
(血液量低下)
 
⑧レニン(※)    

レニン:腎皮質の抽出物で,腎臓の血流量が低下すると分泌される蛋白分解酵素。一種のホルモンである。

 

呼吸の作用とその反応

  1. 吸気の終期に心拍数が増加する。
  2. 吸気により胸膜腔陰圧の上昇によって流入量が増し,ベインブリッジ反射によって心臓が促進されることで拍出量が増加する。
    ※ベインブリッジ反射:心循環系の反射。血液流入量の増大などで右心房圧が上昇すると,心拍数が増える現象。
  3. 吸息中枢の興奮が血管収縮中枢に波及し,吸息により腹腔内圧が上昇するため,循環抵抗が増大する。これらの要因によって血圧が上昇する。
要因 体温上昇 体温下降
①血圧上昇  
②アドレナリン(少量) 大量で無呼吸
③運動 副交感神経
④痛覚刺激 アセチルコリン
⑤血中CO2量の増加 入眠時

 

 

感覚刺激の作用とその反応

  1. 痛覚・温度感覚(冷覚)などの刺激に対して心臓は抑制されるため心拍数は減少する。
  2. 三叉神経領域を刺激(圧迫)すると心臓抑制が起こる。
  3. 激しい痛覚に対してはかえって心臓は促進され心拍数は増加する。

 

 

精神状態の作用とその反応

  1. 情動(高位中枢)には,恐怖・不安・悲哀のように心臓を抑制するものがあり,心拍数を減少させる。
  2. 情動(高位中枢)には,怒り・興奮・羞恥のように心臓を促進するものがあり,心拍数を増加させる。

 

活動の作用とその反応

心筋への酸素供給は冠状動脈によって行われている。

冠状動脈は交感神経の血管拡張神経に支配されていて、運動時には血管拡張が起こり、血流量に従って酸素供給が増す。酸素供給の増加によって脈拍数の増加が起こる。また、ベイブリッジ反射による心拍数増加もこれを助ける。

運動すると呼吸運動が促進され、交感神経活動が高度になる。そのため1回拍出量および毎分心拍出量が増加し、心拍数が増大する。

これらによって、結果的に血圧が上昇する。

 

甲状腺ホルモンの作用とその反応

  1. 代謝を増大させることにより体温上昇が起こる。(体温上昇により心拍数増大)
  2. 寒冷時には甲状腺ホルモンの分泌が増大し,体温調節に関与している。同時に,カテコールアミンと協同して心拍数・毎分心拍出量の増大,循環時間の減少に作用する。
    ※カテコールアミン:生体内物質としては,ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリンが相当。交感神経伝達物質や副腎髄質ホルモンなどとして役割を果たしている。
  3. サイロキシン分泌過剰の時はカテコールアミンの分泌も増している。カテコールアミンには心臓促進・神経系刺激・組織の血液量増大などがある。

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